「ジェノサイダー」を考え始めるまで
④高校時代とロボアニメと

とりあえず漫画家を目指していた自分は、紆余曲折あって弥栄東高校(現・弥栄高校)普通科美術コースという、特殊で凄いところに奇跡的に入ることが出来ました。同コースの同級生は濃い&実力のある人だらけで、刺激が多くて作品制作の何某においてもそこそこのモチベーションが保てていました。
(個人的に嫌な思い出も沢山ありますけどね…)

ここで人生の一番の転機になったのは、授業の一環でflashを触らせてもらった事でしょう。
気軽にアニメを作れる物で最初に触った時にはそれこそ猿のようにflashでのアニメ作りに没頭しました。当然、今見るととても見れない物ですけれど。


当時、「将来漫画家になって売れて、自分の作品がアニメ化される」という妄想をしては悦に浸ってたわけですが、冷静に考えたら「じゃあ最初からアニメを作る方を目指したほうが良いのでは?」ふと思ったんです。

 


こうして、自分は同級生の間で「アニメを作る人間」というポジションを得て、flashでアニメを作る事に専念することにしました。

 



そうして高校生になりましたが、高校時代はどちらかと言うとガノタ全盛期。
先の項でも書きましたが「連邦vsジオン」からガンダムに足を踏み入れて、ちょうど創刊されたガンダムエースはトニーたけざき先生の漫画でゲラゲラ笑うために買ってました。

また、この時期に自分と弟はスーパーロボット大戦(以下スパロボ)シリーズ「スーパーロボット大戦R」に触れる機会があり、これをきっかけにスパロボシリーズに足を踏み入れる事になります。
「スパロボ」といえば、小学生の頃に友人の家に遊びに行ったらスパロボで遊んでいたことが何回かあったので(まあ観戦してるだけだと当然退屈だったんで茶々入れしまくってましたが)存在は知っていましたが、いかんせん幼少期からガンダムは眼中に無い身だったので「勇者シリーズが出たら考えるわ」と言ってたんですが。
そうしていたら、なんだかんだで中学生の頃からガンダムに足を突っ込んだお陰で、スパロボに出てくるロボも少し分かるようになりまして。

 

その後、弟がスパロボAと据え置きのMX、自分がスパロボDとJ…と、しばらくスパロボを兄弟で分担して買うようになりました。

スーパーロボット大戦を触ったお陰で、80年代のリアルロボットタイトルを色々知ることが出来ましたし、同時にこの頃刊行されていた別冊宝島シリーズにはかなりお世話になりました。

この雑誌のお陰で、高校時代はレンタルしてきたボトムズエルガイムのビデオを交互に見るとかやってましたね。

この時期に「凄くハマッたアニメ」というと、まず先述のボトムズとエルガイム。


まずボトムズに関して言えば、ハードボイルドな雰囲気も気に入りましたし、何より塩山紀夫氏の絵を知れたのは本当に大きかったです。キリコをはじめとした男性キャラクター群を見た瞬間に「コレだ!俺が描きたかったイケメンの絵は!!」とビビッと来ました。内容の方は、クメン編が本当に熱かった。クメン編が終わってイプシロンと決着を付ける前後はちょっとペースが落ち込んでダレちゃった気がしますが…それでも終盤は盛り上がりました。50話ではキリコがシャッコに振り返る一瞬の表情の作画が素晴らしくてその場で4回くらい巻き戻した記憶があります。



一緒に見ていたエルガイムは、どちらかと言うとメカのデザインに惹かれたのが大きかった気がします。ちょうど高校2年生になる頃に、「連邦vsジオン」の続編のゲーム「機動戦士Zガンダム エゥーゴvsティターンズ」の稼動とPS2版発売、そして劇場公開がありまして、Zガンダムのモビルスーツのデザインが大好きだったんですよね。デザイン的にはエルガイムのヘビーメタルとZガンダム一部モビルスーツは永野護氏繋がりで似てる部分もありますし。コミカルな雰囲気も好きでしたね。


ビデオ屋に行ってボトムズとエルガイムを借ります。ボトムズを見ます「んー、泥臭い!」次にエルガイムを見ます「んー、軽い!」そんな事をしていた高校時代。結局ボトムズは完走しましたが、エルガイムは3分の2程度まで見て止まってしまいました。

Zガンダムもこの時期から再評価され、劇場用映画が新たに製作され喜々として観に行きましたね。

3作品とも6つ年下の弟と2人で川崎のチッタに観に行きました。
色々言われてる劇場版ですが、自分はコレはコレで好きです。ただ、折角なら全編描き直して欲しかったです。
もっとも、自分が「Zガンダム」という作品を本気で好きになるのは社会人になってからで、この時はどちらかというと、初代ガンダムの劇場公開を味わえた人達の気持ちを自分も追体験したいという気持ちが大きかったですね。

そしてもう一つ、忘れてはならないのがメガゾーン23です。

この作品を知ったのもスパロボからでした。

ただ、この時期は丁度レンタルビデオ店のVHSとDVDの入れ替え期であり、それ以前にもう80年代のOVAは中規模のビデオ屋には置いてありません。アニメのネット配信も始まるかどうかという時期だったので、観たくても中々見れませんでした。
ちょうどビクターからDVDBOXが発売されていましたが、BOX売りで高価だったため高校生当時の自分には手が出ませんでした。なので(現在はほぼ閉鎖されてますが)ビクターのDVD公式サイトにあった、小さなwmaのサンプル動画…物語冒頭の2分半くらい、開始から省吾と由唯が2ケツしてピアザビルに到着、「バイトは8時から、気をつけてね~」という所までを、何回も何回も観てました。何回も観たので本当によく覚えてます。

程なくして、幸運にもアトラスから単巻のDVDが発売されました。コチラも1枚5千円と、高校時代の自分にとって痛い出費ではありましたが、それでも万単位の出費に比べればマシです。
そういうわけでまずPARTⅠのDVDを購入しました。

念願のメガゾーン23を見るに至りました。何回も観たサンプル動画の先の未知の領域が見えてきます。
やっほーう!

やっほーう…?

おおう…?

お…お…?

メガゾーン23の世間的な評価が高いかどうか、このタイトルを知ってる人はご存知でしょう。人気のある作品ではあります。自分も思い出補正含めて愛する作品ではあります。ただ、面白いかと言われると…という作品なのも確かです。
そう、自分もまた、メガゾーン23発売当時にほとんどの人が抱いたのと同様の印象を最初に抱いたんです。

「あれ、コレ意外と面白くないぞ」

絵は綺麗と言えば綺麗、でも80年代中盤のOVAです。
先の星矢の項目にも書きましたが、自分は当時の「絵の綺麗なアニメ」というと90年代中頃のOVAくらいリアルで高水準なものだと思ってたので、この作品に対しても最初それほど綺麗という印象を抱かなかったんですよね。

そして多くの人が引っかかる色々な矛盾点…なんでB.Dはバカデカイバイクを乗り回すヤンキーすら捕まえられないのか、当時どこかのレビューサイトに書かれていた「東京市街に出るたびに記憶を書き換えられるなら、東京の縁に住んでる連中は大変だな」っていうのも「た、確かに…」と引っかかる点でしたし、「お前を抱きたいんだ」のくだりは「そんな無理矢理エロい展開を突っ込まなくても…」と率直に思いましたし…。失礼ながら主人公の声もそれほど上手に思えませんでしたし。まあ僕ら世代はこの作品のお陰で「ワクワクさんは声優だった」と知るわけですが…。

 

なんだ、思ってたより大したアニメじゃないじゃないか。しかしなんだろう、何故か嫌いになれない。

間もなく、PARTⅡのDVDも購入しました。

雰囲気はガラッと変わり、作画が良い意味でハードになりました。当時の「綺麗なアニメといえば~」という印象を持っていた自分でも、PARTⅡの"上手く行ってる部分"は綺麗に感じました。
"上手く行ってない所"も目に付くと言えば付くんですけどね。
でも、PARTⅡはPARTⅠに比べると纏まりも良くて素直に楽しめましたね。なんでPARTⅠがPARTⅡに比べて纏まりを感じないのか…後にその原因が「TV企画だった名残」だと知って納得したわけですが…。

メガゾーン23は初見こそガッカリしましたが、嫌いになれない理由は当時からハッキリ分かってました。その理由はやっぱり若手のクリエイターが良くも悪くも熱く突っ走ってる感覚…情熱が伝わってくるからです。
やりたい事は、上手くいってないけど分かると言えば分かります。むしろ「こまけぇこたぁいんだよ!こういうのがやりたいんだよ!」という姿勢に対して、一周回って親近感も覚えましたし。
こたぁいんだよ!こういうのがやりたいんだよ!」という部分に対して、一周回って親近感も覚えましたし。「こまけぇこたぁいんだよ!こういうのがやりたいんだよ!」という部分

特典映像の予告映像や、ヤフオクに出品されている当時のムックやアニメ誌の特集号やグッズを眺めて「いいな…俺も80年代にこの作品に触れていたかったな」と身悶える日々を送ります。DVDを買った時はまだCDを持ってなかったんで、PARTⅡのメガゾーン崩落と共に「秘密く・だ・さ・い」が流れるところを延々ループさせてました。

こうして、PARTⅠ・PARTⅡと続けて買えばPARTⅢへと続くのが普通ですが、流石に1枚5千円したDVDをポンポン買う財力は高校生にありません。
ただ、ちょうどその頃…高校時代の末でしょうか。「親父が休みの日に、親父の通勤定期を借りて渋谷のTSUTAYAにビデオを借りに行く」という事をするようになりました。当時そこにはメガゾーン23をはじめとした80年代のOVAがまだまだ大量に残っていたので、その後大学生活いっぱいまで頻繁に利用するようになりました。
そこにPARTⅢのビデオもあったので、早速レンタル(後編は借りパクされたらしく戻ってこなかった様子だったので前編だけ)。EXガーランドは格好良いし、サイバーパンクなSFがそこそこ好きだった自分は、特に拒絶反応は出ませんでした。でしたが、自分にとってははじめて観たパタパタアニメでした。
まー、上手く行ってる部分と行ってない部分の落差が激しいのは、ある意味メガゾーンらしいといえばらしいんですが…。

 

何にしても、DVDも購入した事で、自分とメガゾーン23との付き合いはこの後も続きます…

この他にも、トップをねらえ!冥王計画ゼオライマー蒼き流星SPTレイズナー(ただしこの頃はまだ総集編だけしか観てない)そして伝説巨神イデオン接触編/発動編といった80年代のロボットアニメを観たり、高校時代の友人にエヴァンゲリオンの劇場版やらフルメタルパニックやらも掻い摘んで見せてもらった気がします。
フルメタは「ふもっふ」までゲラゲラ笑って観てたんですけど、本筋の方が苦手なライトノベルっぽいお話で、セカンド〜以降は…
イデオンの劇場版をビデオで観てダビングし、DVDに焼いて友人に渡したら、数日後にその友人が学校にエヴァの劇場版DVDを持ってきたんで、PC教室で横から覗かせてもらってましたね。自分はひたすら「イデオンじゃねーかコレ」と言ってた記憶があります。

そういえば、家から少し離れた所のTSUTAYAでFSSを見つけて、学校のPC教室のビデオデッキに突っ込んで友人と一緒に観たりもしてましたね。

ちなみに18歳を過ぎて早速借りたアダルトビデオは「ラル」と「ポップチェイサー」のカップリングDVDでした。


高校2年生の時に文化祭で上映の出し物をやる、という話になって「頑張って長めのロボットアニメを作ろう!」と思い立って「鋼鉄戦士ガリオス」というflashアニメを頑張って作ったりしてました。

アニメーターを目指してflashでアニメをちょいちょい作ってはいましたが、流石に当時は「自分の創作物をシリアスにアニメにするには自分にスキルが整ってない」と思ってたので、人間のキャラクターはほとんどアニメに反映していませんでした。

この時期は、紙やプリントの裏にオリキャラの絵を延々描くか、痛々しい漫画を描くかしていました。

まあ、アレです。高校から大学が一番イタい時期です。

一次創作のキャラクターは先述の通り、なんの脈絡も無い絵をひたすら紙に描いてました。

  
人間のキャラクターを真面目に描き出した頃に起こる作画崩壊が顕著ですね。
そこそこリアルに描く、という事にこだわっていたのが災いしてました。とっておいてはあるけど、捨てたい…

一方、漫画の方はというとガンダムの二次創作のようなもので、「シャアがパワードスーツ・モビルスーツを装着して戦うヒーロー物」を描いてました。ギャグの体裁を被ってシリアスに描いてました。あれを友人に見せびらかしてたとか思い出しただけで、当時の自分を今から殺しに行きたくなります。

そしてもう一つガンダムの二次創作のような物として、Vガンダムの先の宇宙世紀を舞台にしたオリジナルのガンダムを…

 

と、とにかく、そんなこんなでガンダムのキャラクターを使って色々描いていたわけですが、丁度高校の図書室にガンダムキャラクター大全集という本がありまして。

ここではじめて「版権キャラクターを真面目に模写する」ということをやったんです。お陰さまで、顔の描き方とかかなり基本的な事を学べたような気がします。

そうている内、大学受験の時期になりまして。受験のこともあったのでEarnest Fight!!」という自主制作アニメを制作し学生デジタルコンテストに応募したら準賞というデッカイ賞を取ることが出来、アニメーション学科のある大学に自己推薦ですんなり入学する事が出来ました。

他の大学も受けりゃ良かったのに


とか

その5へ→
 
古代戦殻ジェノサイダーTOP

作品紹介に戻る

トップに戻る

inserted by FC2 system