「ジェノサイダー」を考え始めるまで
⑤大学時代の光と闇

2006年、アニメーション学科のある大学に入学しました。何処の大学か、名前は伏せておきます。
…自分が入学して数年後に創設された漫画学科の人が描いたルポ漫画が話題になった所、で概ね推測してもらえるでしょうかね。

入学時に同級生は120名ほど居ましたが、意外なことに(絵が描けるかという最低限のスキルも含めて)制作能力のある人が4~5割程度しかおらず、それこそ「他所の大学に落ちたけど、ただアニメが好きでココを受けたら受かった」という人が結構居まして…入学時少々天狗になってた自分は入学早々に「なんだかレベルが低くないか…」と少しガッカリすることになります。
もちろん、自分より何もかも優れてる人もそれなりに居ましたけれど。

最初の1年目は高校時代同様にやる気もありましたし見栄も張っていたので、課題で好き勝手なアニメを作ってドヤってたりしました。でもあのやる気と見栄は悪いものじゃなかったと思います。


そうして、アニメ制作サークルに入ったりもしましたが、1年の時に抜けました。

そもそも、自分はいわゆる自宅組で、大学へ行くのにもあざみ野から本厚木まで片道1時間半かかりました。
そのため、学校に居る間はそれなりに学校の機材にしがみついてないといけないんですが…たしか年度末にサークルの上映会の打ち合わせみたいな事をするという事で集まったら、先輩が当時流行ってた何某をプロジェクターで上映するような真似をしてて時間の無駄だと感じて、頭にきた自分は無言で途中退室した記憶があります。
先輩との関係で色々苦労するのは大学時代特有のイベントだとは思いますが、正直言ってあの時は抜けて良かったと思ってます。結局、3年生の時にはなあなあで(実質)戻ることになりましたけれど。先輩居なくなったし。

2年の頃から制作のペースが急落します。
それは何故かと言うと、一番大きな理由が「そろそろPC上のflashでの制作をやめて、人間のキャラクターを本格的に紙に作画して作れるようにならないと」と思い始めたからです。するとどうでしょう、色々と「あんなのを作ろう」「こんなのを作ろう」とネタはいくらでも浮かびますが、いやー作れない進めない。

 
この時期、高校時代のそれに比べれば人間キャラクターが形になってきたものの、まだまだ作画はガタガタで、更に線が増えた事によって一気に作画速度が落ちるのもきつかったんですよね。

それまでは火星人みたいな少ない線のキャラクターでそれっぽいのを作って「俺って天才だわ」とか思ってたのが、この辺りでやっと現実が見えてきたわけです。

そんな事情もあり、大学2年生になった頃からしばらく自創作の落書きに没頭することになります。


 

大学に入る頃にはまってた作品は幾つかあります。4年間と長かったですし、本当に色々。


まず、自分が大学に入学した当時(2006年)は涼宮ハルヒの憂鬱GUN道MUSASHIがブームでしたが、当の自分はGyaoで配信されていた赤い光弾ジリオンに夢中でした。
ちょうど自分がネットのSNSとか使い始めた時期と重なったので、HNもこの作品から付けましたね。

最初に観たのが第19話「勝負!コインを投げろ」で、「なんだこれ、すげえ面白いじゃん」と感銘しまして。
でも後に見た歌姫夜曲は忘れたい。

本当に夢中になったんで、ヤフオクでジリオンガン(上画像)を2丁買って、大学に持ってって数回遊びました。片方の受光センサー壊れちゃって今は遊べなくなっちゃったんですけどね。


また、同時期に高校時代からの友人と「オススメアニメの押し付け合戦」をしていた時期がありまして、「向こうが最近の萌えアニメを勧めてくるなら、俺は昔の美少女アニメを押し付けてやる!何があるかな?」ということで調べた魔法のプリンセス ミンキーモモ(海モモ)に自分がドップリとハマってしまうという、ミイラ取りがミイラになる現象を食らってしまったりします。

右のアニメブックは今も参考資料にするので付箋とか付いてますね。

 

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この時期、TSUTAYAで「リクエスト」という、店舗に無い在庫を取り寄せてくれるという有り難いサービスが出来たので、早速自分は「星矢以外のクロス物やパワードスーツ物を掘り下げてみよう!」と、色々取り寄せて観てました。

 

スーパービックリマンは幼少期に「頭身の大きいビックリマンがある」というのを漠然と知っていたんですが、大当たりでしたね。DVDBOXがちょうど発売されたんで大喜びで購入したんですが…諸事情で今は手元に無いのが悔やまれます。
超音戦士ボーグマンも、OPやバンクシーンは非常に格好良く、第一印象は良かったんですが…
大 学1年の時に英語字幕の付いた本編がYOUTUBEにアップロードされていたので(確実に不正アップロードだと思われますが、当時は傑作選のVHSしか自分に視聴手段が無かったのと、現在は上画像のLDも持ってるという事で勘弁していただきたい)観ていたんですが…後半の失速っぷりが本当に残念でした。
上記の作品群に加えてサムライトルーパーも観たんですが、コチラは塩山紀夫氏のキャラクターデザインによるクロス物という事で相当な期待をしたんですが、(人気のある作品なのでこう言うのも怖いんですが)結構酷い出来で…。作画は終始安定してたみたいなんですけど、子供向けということを念頭に入れても「な…なんだこれ…」という感じで…。
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先の項でも話しましたが、当時は渋谷のTSUTAYAへ少々レアな作品を借りに行くことが出来たので、宇宙の騎士テッカマンブレード天空戦記シュラトを毎週借りに行ってました。


テッカマンブレードはメガゾーン23同様スーパーロボット大戦で知った作品でした。
「そういえば小さい頃、ロボットの間に人が入ってサンドイッチになるアニメを観てたような…」という記憶がどうやらテッカマンブレード(ぺガスの中に入ってテックセットするシーン)だったようで。初代テッカマンの世代だった母によると、「面白かったから見たかったんだけど、誰かさんが怖がって泣くから観れなかった」そうです。泣いてた記憶はまったく無いんですが…。

等身大のヒーローが好きな自分にとって、適度にメカっぽいデザインが非常にツボで、スーパーロボット大戦の方でもボルテッカが非常に格好良かったので、アニメも期待しまくったんですが…
ビデオの1巻を借りて観た第一印象はただただ「絵が汚い」と感じました。作画が不安定なことで有名な作品でしたし。

そうして、ビデオの1巻を観て少し放置していたんですが、偶然youtubeで中国語版の終盤の動画がオススメに表示されて、「どれどれ」と見てみたら作画も非常に良くなってるし、中国語でも熱さが伝わってくる。

と、いうことで「全部観るのはしんどそうだから、最終巻だけ観てみようか!」と、弟と一緒に最終巻を借りてみたら、もう終盤は凄い。作画もかなり本気で。スパロボのお陰で大体の展開は知っていたので、最終回にはそれなりに来る物があり。

「全部観るのはしんどそうだから」と最終巻まで飛ばして借りたクセに、結局2巻からじっくり観る事になりました。

 

 


一方の天空戦記シュラト。

先ほど、「星矢ブームと共に作られたクロス物」を掘り下げていた話をしましたが、この「天空戦記シュラト」もその際に知った作品です。するとコチラも結構面白い。星矢の人気を適度に分析した節もありますし、最初は作画も安定していましたし、インド神話モチーフのクロス物として見て非常に新鮮でしたし。

是非こういう星矢リスペクトな作品をドンドン作って欲しかった。


このアニメムックは一時期本当に持ち歩いてました。

まあその、ご存知の方も多いかと思いますが、シュラトは後半で制作体制のガタが来たとかで作画崩壊を起こしてしまうわけですが…。作画崩壊が始まった当初は「何だよこれwww」とゲラゲラ笑って観てたんですが、段々「最初は綺麗だったのにな…」と哀しい気持ちになっていったのもよく覚えてます。

そうこうしていた20歳くらいの頃に、実写版トランスフォーマーが公開されます。


当時はトランスフォーマーについてビーストウォーズくらいの知識しか無かったんですが、「フルCGで巨大変形ロボが見れるのは凄そうだ」ということで実写版を観に行く事にしまして、実写公開と連動してyahoo動画などでも"G1"のアニメ配信が始まったので、予習のつもりで観てみる事にしたんですが…

いやもう、それまで80~90年代のリアルロボットにドップリだったお陰か、トランスフォーマーの抜けた感じが非常にツボりまして。1話から登場していたサウンドウェーブが好きだったとかもあるんですけど、良くも悪くも展開は読めないし、司令官は本当によく落ちるし、敵のボスのメガトロンの方が頭が良かったり、面白さを列挙するとキリが無い。G1自体、85年放映当時もそれなりにセンセーショナルだったようですが07年の自分にとってもそれは変わりありませんでした。

有名で大きなタイトルにハマッたのは久々で、丁度玩具の再販もあったので(と言っても、原油高高騰の影響でプラトイの価格が全体的に上がった時期で結構な値がしましたが)トランスフォーマーシリーズにはガッツリハマりましたね。

実写化もあり、自分のようにビーストウォーズ→実写→G1というルートを辿る人は一定数いた様子で、トランスフォーマーで久しぶりに「現行の大タイトルに乗る」という事が出来たように思います。この作品がきっかけで知り合った女性とお付き合いしたくらいですし幼少期に勇者シリーズを観ていた身としては、勇者の原点として楽しめた部分もあります。

ちなみにこの時期、流石にアニメーション学科では現行の作品の話題に囲まれてたので幾つかリアルタイムで観ていたアニメもありまして。コードギアスR2(R2だけ夕方に放送してたのでリアルタイムで流しつつゾイドを組んでた)とかマクロスFとかも観てましたし、友人に教えてもらったデルトラクエストは気に入ってました。
ただ、この時期はいわゆる「セカイ系」が大ブームだったり、京アニのアニメが大ブームだったりで、結局(個人的に)肌に合わない作品が圧倒的多数でしたね。「セカイ系とか男の子の見るアニメじゃねーよ」と当時は思ってたし今も少し思ってるそんな感じで相変わらず「萌えアニメなんて…」と思ってた自分ではありましたが、18禁PCゲーというゾーニングされた世界では話は別(?)。

当時はちょうど萌えブームと共にAirを初めとしたエロゲー原作アニメが隆盛した時期でした。
自分は「アニメの方に入ってくるな!!」という気持ちが大きかった一方で、エロゲーという分野が盛り上がるのはさほど嫌では無かったんですよね。(一気に下品な話題になって申し訳ないですが)それで各エロゲーメーカーの体験版を片っ端から落としてオカズ探しをしてたわけですがそんな時にある作品が目に留まります。

それは自分にとって、聖闘士星矢と並ぶほどの大きな衝撃でした。

WW&F 大正帝都伝記譚(※18禁ゲームなので18歳未満の人は調べちゃ駄目ですよ

それまで萌え系のイラストは昔の少女漫画の派生のような絵ばかりだと思ってましたが、わざきた先生の肉感的な描き方と幻想的な色使いにはとんでもなく魅了されました。
今冷静な目で見ると「大正時代らしさ」が薄いようにも感じられますし、未完で終わってたり未完成に思える部分も目に付いたり、気になるところは沢山ある作品ではあるのですが…。当時から「世界観だけは最高のゲーム」と評されてたようです。確かにゲームの世界観は最高でした。

そしてこの作品の舞台は大正時代。
元々近代が好きだった自分は再び近代物・大正浪漫への思慕
の念を強くすることになります。


これで…「古代戦殻ジェノサイダー」に至る作品群の解説は出来たと思います。

当時は高校時代からの友人に「いい加減に古い絵柄を捨てて今の絵に慣れろ」と口酸っぱく言われまくってた(この指摘は今思えば半分当たり・半分ハズレでしたね)のもありまして、まず「自分は女の子を描くのが苦手だし、だったらわざきた先生の絵柄を取り入れよう!」と思い立ちます。

次にテッカマンブレードやシュラトにハマって、徐々にリアルロボットから等身大ヒーローへとマイブームが反れてきて「そろそろ俺も"自分のクロス物"を考えよう!古代文明ではエジプトが好きだからエジプト神話モチーフにしよう!」と思い立ちます。

そして、「舞台は大正時代にしよう!」「中学時代から居るお気に入りのオリキャラを活かそう!」と、様々な要素がどんどん繋がり、世界観とキャラクターが出来ていく。一次創作で最も楽しい時期ですね。こうして中学の頃から描いていたオリキャラの長岡頼通とその周辺のキャラクターと、わざきた先生の絵柄を参考にする…という体でパクr模倣したキャラクター、まったく新しく出来たキャラクター達の設定構築や、エジプト神話をモチーフにした鎧のデザインを考えていくのに夢中になるのでした。

やっとジェノサイダーの話まで行った…


とか

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