どんぞこの社会人編

 


作画の方からアニメ業界に入ろうと漠然と考えて色々な所を受けては案の定落ちていた頃、とある所へ面接に行ったら、自分の履歴を見た担当の方が親密に話してくれて「君は"制作"より"製作"に向いてるんじゃないのかな」なんてことを言われ、その話を大学の先生にもしたら確かに「そう思ってたわー」とか言われました。卒業間際に。
…言うのが遅ぇよ!と、言いたくなるワケですが、頑固で生意気な自分があらかじめそういう話をされても果たして素直に気持ちを切り替えたかというと、割と疑問なのも事実なんですけれど。

自分が唯一内定を取れたのは、どんな下手な人でも入れると言わる等、少々怖い噂も飛び交う東長崎のとある下請け作画スタジオ。
「制作進行とかでアニメ会社に入った方が良いかも」と言われていたので、とりあえずここで1年くらい業界の中に居て、それから職を変えようかな、と当時は漠然と考えてました。
いざ下請けで動画割をやると、もー線が綺麗に引けないわうまく動かせないわ。
このスタジオに入ってはじめて"タップ合わせ"を教わった時には、誇張抜きで「俺の大学の4年間はなんだったんだ」と愕然とした記憶があります。
ここに来て「ああ、卒業制作の時も感じてたけど、俺は作画に向いてない…」と痛感することになります。

そのスタジオで、自分にとって恩師と呼べる柳田勤さんに出会いました。厳しくも作画のノウハウはきっちり教えてくれます。どんなにへたっぴな新人でも、なんとか育成しないといけない厳しい状況もありしっかり面倒を見てくれます。「長く続けるにはねぇ~」というお話をされるたびに、「(実は長く続ける気は毛頭無いんだけどなぁ)」と心苦しい気持ちと先述の辛さもあり、結局自分は2ヶ月程で職を辞すことにしました。

 
アニメの仕事を辞めましたが、1人暮らしをはじめていたので食い扶持は稼がなくてはなりません。とりあえず学生時代に郵便局のバイトをしてたので、新大久保にある郵便局に勤める事になりました。貯金もほぼ無かった上にクレジットカードも持ってなかったので、この頃は人生で一番貧乏な時期でした。

社会人になり、色々な不条理を目の当たりにしてる頃に機動戦士Zガンダム(TVシリーズの方)を観ていたんですが、主人公のカミーユが大人に対して怒ってるのを観るたびに「あー分かる」と物凄く共感してました。自分はカミーユのように、気に入らない大人を殴れませんでしたけどね。

そうして、「これからどうしよう」と漠然と過ごしていたわけですが、やはり何かを目指したり作ったりということをしていない日々が果てしなく不毛に感じてきます。卒業制作も未練が残るし、やっぱりジェノサイダーのアニメも作りたい…。ということで、「よし!またアニメを作るぞ!!」と意気込んだのが2010年の秋でした。

まさにその時期の2010年秋。
大学時代にそこそこ仲良くしていた、アニメの制作進行の職に就き自分と同時期に退職していた友人が亡くなったという報せを受けた。自殺だったそうだ。
退職後はずっと無職で居たようで、自分が「ああ仕事疲れた…」とクタクタになって帰宅すると、mixiに「しばらく働かない」とか書いてて「この野郎!」とぶん殴りたくなったりもした。そんな彼も亡くなる一ヶ月前には映像関係の職に就いていたらしい。
何がいけなかった。何があった。どうしてこういう結果になった。
彼のツイッターの最後の呟きとブログの最後の記事を何回見ただろうか。
自分は大学でのアレコレに憤りも感じていたのもあり、あの告別式以来、大学の友人達とは一気に疎遠になった。

燃える蜃気楼とLDデビューからパシフィック・リム

社会人になりまして、色々あってレトロゲーム…特にアーケードのレトロゲームに大ハマリしました。
その話は非常に長くなるので割愛しますが…。
お陰さまで、"現行のアニメ"からは再び遠ざかって行きました。

新大久保の郵便局で働いていた時は、仕事終わりに頑張ってチャリを漕げば新宿のTSUTAYAへ行けたので、そこで田舎のレンタルビデオ店には無いようなアニメタイトルを観る事がしばしばありました。
一度、友人を巻き込んで「マイナーOVA上映会」をやって、超時空ロマネスクサミーを観て「これ対象年齢いくつだよ…」と頭を抱えつつ、最後に見た「ウィンダリア」がまさかの大当たりで得した気分になったりもしてました。


そんな折、当時通ってた高田馬場のゲームセンター・ミカドでエリア88が稼動を開始します。名作と名高いゲームで、興味もあったので早速遊ぶと、確かに面白い。


「エリア88かあ。昔BSか何かでアニメやってたけど、古い方もあったよな。少女マンガみたいな絵で『なんじゃこりゃーw』とか思ってたっけ」

そんな失礼な思いと共に新宿のTSUTAYAへ行くと、旧劇場版のDVDが置いてありました。早速借りて軽い気持ちで観はじめたら、これがまた超大当たり。視聴直後の感想は「少女マンガみたいな絵柄とか言って敬遠してた俺の馬鹿野郎」でした。
映像ソフトを是非手元に置いておきたい!というくらい気に入ったんですが、調べてみるとどうやらOVA版を再編集した劇場版のみしかDVD化されていないとのこと。オリジナルのOVA版とはどう違うんだろうか?OVA版を高画質で観る事は出来ないだろうか?と調べていたら、すぐにレーザーディスクという選択肢を発見しました。
レーザーディスクには以前から興味もありましたし、実際未DVD化作品のソフトも山ほどあると知っていたため、この機会に購入することに決めました。
 
購入したLDプレイヤーはLVD-Z1。2万円くらいでそこそこの物を、と考えてコレになりました。サイドウッドが外されててリモコンも付いてないんですが、購入した時点では前オーナーがグリスアップ等のメンテをしてくれてたようで今も問題なく動いてます。

同時期に、レコードも嗜むようになりました。神保町へ行ってLP・EPは勿論、戦前のSPレコードを「個人がこんな凄いモンを買えるんだ!戦前の音楽だ!!」と感涙しながら購入し再生させておりました。

そういうわけで、レコード屋へ行くと投売りLDもドッサリ買うようになりました。
新大久保での仕事帰りに、高田馬場「タイム」(奇しくも16年1月一杯で閉店したとの報せを受けて寂しい限り)で1枚100円の投売りLDをどっさり購入したり、ハードオフで中古のLDボックスを購入したり。神保町からLDBOXを提げて帰ると手が痛くてしょうがなかったですね。ハハハ

現行の何某に興味がない…とは言いつつも、2012年に突然聖闘士星矢Ωという聖闘士星矢の新シリーズがはじまりました。不安こそあれど、最初は大喜びで観てましたし実際楽しんでいたんですが…結局2クールくらいまで観てリタイアしちゃいましたね。リタイア寸前は視聴しながら「なんなんだよコレは!!!!」と終始憤ってた気がします。

 

翌年の2013年。「ドラゴンボールZ神と神」が上映されました。

星矢Ωの件もあり当初は不安もあったんですが、いざ劇場でみたら非常に楽しめましたし、ドラゴンボールの新作映画が製作されたことが非常に嬉しかったです。悟飯の弾いた弾丸がビルス様の額にも当たってて「僕にも当たったんだけどなぁ」と言う所が個人的にお気に入りです。

でも復活のFは忘れたい。

それから間も無く、突然あの作品が現れました。パシフィック・リムです。


小学生時代から、自分は「ああ、もう俺の求めるかっこいいロボットアニメとかって、もう受けないからどこも作ってくれないんだな。世間が悪いんじゃなくて、きっと俺の方がおかしいんだな」という諦めと共に過ごしてきました。
それが突然ですよ昔気質の男の子のツボを直球で突くような映画が海の向こうから現れたんですよ。
自分の偏ったツイッターのタイムラインがパシリム一色になれば、流石に気になって観に行きます。
すると開始早々イキナリ巨大ロボットの発進シークエンスです。誇張抜きに、涙目で見てました。

劇場に5回も観に行った映画は後にも先にもコレだけです。

後には「マッドマックス怒りのデスロード」のような映画も現れ、何かが好転していくような気がしてきました。


 

 
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