「ジェノサイダー」を考え始めるまで
ビデオ屋と聖闘士星矢とゆとり世代

先の項にも少し書きましたが、ウチの母親はAV機器通で、家にはVHSのデッキと共にEDV-6000というベータ(厳密に言えばEDベータ)のビデオデッキがありました。BSで放映される映画もどんどん録画していましたし、ベータのビデオにはコピーガードが効かなかったのでレンタルビデオのコピーガード解除機代わりにも使っていたようです。

そんな母親に育てられたので、90年代は買い物のついでにビデオ屋へよく行きました。ビデオ屋に来ると、大体「何か旧作を一本だけ借りてあげよう」という話になるので、母親がビデオを物色してる間に自分もアニメ・特撮コーナーで借りてもらう作品を物色しておりました。弟が物心つく頃には(子供)1人1本…つまり2本借りてよいことになったので、時々弟をうまく言いくるめt説得して、上手く自分の借りたいものを2本借りてもらったりとかしてました。

さて、ビデオ屋といえば色々なビデオがあります。ビデオというメディアが相当普及した時期です。まず当然アダルトビデオもありますし、チープなホラー・スプラッター、全年齢映画のコーナーにもえっちなパッケージのビデオが置いてあります。母親も、自分がそーいうコーナーに行かないように(一度AVコーナーの中で興味津々にビデオを眺めてたら見つかったことがあったり)そこそこ警戒はしていたようですが、やっぱり限度があるわけで。自分も当然「エロいのは子供が見ちゃ行けない」というのは分かっていましたが、前を通るフリをして何回もエロいビデオの前を通ったりとか…。今思えば、インターネットがまだ家に無かったあの時代に、怪しくディープな自分の知らない世界を垣間見せてくれたのがレンタルビデオ店だったように思います。
いやー、「DEATH WOMEN 2 女体解剖
」とか小学生のガキんちょにはパッケージだけで刺激が強すぎましたよ。20年以上も「女体解剖」ってタイトル覚えてて、今ググッたらまさにそれが出ましたよ。ドンピシャで自分もびっくりですよ。(グロテスク映像ビデオなので検索は自己責任でお願いします)

さて…90年代も終わりに差し掛かり、みんながノストラダムスを気にしはじめたくらいの頃。
聖闘士星矢に出会い、母親に「この作品は何?」と母親に聞くと、母親は少々気の乗らないような感じで「昔
ジャンプで連載してたしょうもな漫画でね…」と説明をしてくれるわけで。
どうやら母親は、(同人活動は一切していなかったとはいえ)聖闘士星矢…特に紫龍に夢中になってたのを自身の黒歴史に感じているようで、良いところは褒めつつも「しょーもない漫画」「なんでこんなものを買ってたのか…」と結構ボロクソに評価していました。
一方、最初自分も「なんだよコレw脳は何処に入ってるんだよ」と、少々馬鹿にするような気持ちで読んでいた聖闘士星矢ですが、
うわべで「アホくせー」と失礼な照れ隠しをしつつも、しばらく経て作品の虜になっておりまして。おそらくリアルタイム世代の方々から10年遅れぐらいで「かに座がワルモノかよ!」と衝撃を受けていたと思います。
そうこうしていると母親から「実はコレのアニメがやってたのよ」という情報をもらいまして。
早速、当時通ってたビデオ屋さんへ行った時に捜索を開始します。
さ行…セイント…セイント…   
お!あった!セイントテール!違う!!

見つけた!コレだ!聖闘士星矢!12345、9巻?なんだか巻数が飛んでいる。
とりあえずどんなものか軽く観ておきたい…という心持もあり、9巻の特典映像のフランス語版が気になったので9巻を借りました。
テープを入れて、逸る気持ちを抑えられず「とりあえずOPはいいや」と早送りで飛ばして、始まった本編は第51話「なぜだ! 牙をむいた黄金の獅子」

星矢に関する説明を渋々する母親でしたが、「絵は綺麗だった」と褒めていたので期待はしていたんです。ただ、当時の自分が「絵の綺麗なアニメ」と言われて想像するのは90年代のOVAくらいの高水準なものでした。そのため、本編が始まった時は「あれ?なんだ結局昔のアニメはこんなモンか」って、初見の時は少しガッカリしたんですよね。子供だったんで、当時のTVアニメとしては水準が高かったとかそんな事情も分かってませんでしたし。荒木作監回を「こんなもんか」って評価した幼少期の自分…(顔面蒼白

そうして最後まで見ます。アニメ十二宮編は連載に追いつく都合上、少々ゆっくり目で話も進んでいたので展開はゆっくりでした。「男だ!カシオス愛に死す」のタイトルバックの絵に笑い、最後の特典映像のフランス語版で笑いました。ついでに星矢のクロスのデザインが初期の胸当てタイプなのに、頭はヘルメット型という堅牢なデザインで違和感を感じたりもしていました(もっとも、このアニメ版クロスのデザインに関しては最初に見た時も特に「悪い」とは思わなかったんですが)。
「なんーだ、思ってたよりもパッとしなかったなぁ」なんて思っていて、「そういえばオープニング観てないね」と、巻き戻したビデオテープをもう一度再生させました。

それは、まさにこの頃の自分が求めていた衝撃でした。
バリバリのギター音と共に、カッコイイ聖闘士達が走ってくる。
シュイーン!とイカしたタイトルが飛んでくる「セイントセイヤァー!!」
最初から最後まで格好良い。そもそも音楽も凄く格好良い。なんだこれは。

「最近のアニメから、自分の求める格好良さが無くなってしまった」
絶望に近い気持ちで居た当時の自分に、自分の望む「格好良さ」を与えてくれたのは、10年以上前のアニメだった。

これだ。俺が求めていたアニメは。

こうして、小学校高学年にして懐古主義に目覚めてしまったのでした…


とか

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